1.目的
本実験の目的は、アナログ温度計(以下A温度計)とデジタル温度計(以下D温度計)の湯温測定における精度の比較を行うことです。コーヒードリップにおいて温度計の精度は抽出効率を決める湯温を決定する重要な要素です。この実験においてA温度計とD温度計の性能の違いを明らかにし、将来的な温度計の選択や使用時の注意点に関する有用な情報を提供することを期待しています。
2.原理
A温度計:異なる熱膨張係数を持つ二つの金属の層が重ねられています。温度が上昇すると、金属の線は熱膨張によって曲がります。この変形が指針に伝わり、温度の変化を示します。これをバイメタル式と呼びます。
D温度計:温度変化に応じて抵抗値や電圧が変化するサーミスタや熱電対を使用している温度計です。サーミスタや熱電対による情報はアナログ信号であるため、これをデジタル値に変換するためにアナログデジタルコンバーター(ADC)を使用します。これらの素子や変換回路が精度に依存します。
3.実験方法
1つのケトルに対して2つの温度計を同時に入れ、示す温度を比較します。沸騰させたお湯をケトルに入れ、A温度計を基準とした温度差を記録します。
使用する温度計は以下の通りです。
A温度計
青芳CASUAL PRODUCT ティー&コーヒーサーモメーター コーヒー用温度計
クリップで挟む方式なのでケトルを動かしても動かないのが便利です。温度公差は±3℃。
D温度計
タニタ 温度計 TT-583
何も言う必要の無いタニタ製の温度計です。温度公差は±1℃(0~100℃)
4.実験結果
実験によって得られたデータ以下に記録します。
A温度計:D温度計
90℃:90℃
75℃:75.4℃
5.考察
なぜ2点でしか記録をしていないのか。それは体調不良のためコーンスープを作ろうとお湯を沸かし、熱々のお湯を注いだ後にスープを楽しんでいたら75℃まで下がっていたからです。完全に実験者の落ち度です。
さて、コーヒーをドリップする際に必要とする湯温は約90℃です。今回の比較からも分かる通り、両温度計による誤差はほとんどありません。A温度計の目盛りは上記の画像の通りであるため、あとはドリップ時に正確に読めるかが必要になってくると考えます。もちろんD温度計の方が数値で示される分、視認性において圧倒的アドバンテージがありますが、A温度計の方がなんかカッコイイですよね。カッコイイという理由だけで使うに値すると結論付けます。